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tempo 发表于 2008-4-6 10:10

カイダイ---平山千代子

四年の三学期であつた。L6XDI8g9r6]
 国語の教生が来て、平家物語の重盛諫言のところを教へることになつた。 }/G4X6KC}(b
 教生といふのは今年卒業する大学部の学生の中から、一番か二番の人で、卒業後の練習のため女学校へ教へに来る人のことである。?J[dq XM
 その時の国語の教生は、私たちが一年の時の五年生で、キツネさんと呼ばれてゐた市村先生であつた。ia mJ-O"}
 キツネだと云ふので、あてられては大変と皆よく予習して行つた。
)f#B5wH(?&w x4\7R  いよ/\その時間となり、先生はすまして教壇へお上りになる。後には先生の同級生が大勢(二、三十人)見学してゐる。先生は一通り読みが終つてから、
pT*S d%c`+R:`#V4Qt 「では解釈に移ります」とおつしやつた。6Lz Q6Y7Pkl
 さあ腕前(下しらべの)のほど、みせてくれん、と私もノートを開いた。
`WG \+JT,v  私がまだノートをひねくつてる中に、.\VD9h j+[
「平山さん」といきなり呼ばれて、私は面喰らつてしまつた。第一、私の名前を知られてるなんて夢にも思つてなかつたのである。opk3Zy
 鳩の豆鉄砲より尚甚だしかつたに違ひない。[C8R8V"i0AM1P;s
「どうぞ、カイダイして下さい」nHc+Qho$Z
 カイダイ? カイダイ?X7A]oF l ~0C%K&^
 呼ばれておどろいたばかりぢやない。変なことを仰せつかつた。仰せつかつたが、どうしていゝのかわからない。
3L}9JC7`Sh0w  私は突差に立ち上つて云つたものだ。
:N\mq"J0G 「カイダイ……ッて何ですか」と。E5tF'Go0ui;MW8t
 わーツとおこる爆笑の中で、私だけは生真面目にポカンとしてゐた。
z5o#`R @y fr:q W1Qa  先生もゲラ/\笑ひながら、
xa ?7|![| 「カイダイといふのは本について、何時、何があつて、どういふことがかいてあるかをしらべることです」と教へて下さつた。
9k J c u M!i~,d  今までそんなことした事もなし、きいたこともないので、私はさう云はれて初めてわかつた。カイダイッて何ですか、ときいた位だから、やつてないのは分りきつてゐる。0}*~3E/`O
 やつてありません、と云つてしまへばよかつたのだが、そこで私は失敗した。
v hYc\ vY"Q{1a  隣の智(とも)ちやんが、それどこぢやないといふ様に心配して、これをみろ、これをみろ――とばかりに私の腕をつゝついて、自分のノートを差出してくれた。あまりさゝやくので智ちやんのノートをみたが、何年とか、なんとか、かんとかと極くおぼえ書程度の簡単なもので、何と云つていゝかわからぬ。困つた顔をしてゐたが、智(とも)ちやんは親切に、
@P8W N~'G  これを云へ、これを答へろと、つゝつきとほす。私は覚悟をきめて、しどろもどろいゝ加減なことを云つてしまつた。~X(@%w9u"[ w
 あの時はトモちやんの親切をすてきれず、あんないゝ加減なことを答へてしまつたが、今思ふとなぜ正直にやつて来ませんでした、と云はなかつたんだらうとほんとに残念だ。
Fvvo` E@  カイダイッてなあに? とこつそりきかずに、折角、正直に先生にきいたのに、なぜ大事なとこで、嘘をついて、胡魔化してしまつたか、今でもあの自分の卑劣さを考へると、がつかりしてしまふ。 l4PwQ0\5@ VR
[align=right](昭和十六年の思ひ出)[/align]

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